Story
mokuの誕生
コンパクト財布が欲しい
財布といえば、なんの疑いもなく、ずっと長財布と小銭入れを分けて使ってきた。二つ折り財布は、ポケットがパンパンになるのが嫌で昔から使わず、長財布と小銭入れの"2つ持ち派"だった。
しかし、ある日スーパーからの帰り道に気付く。いつの間にか、長財布を持たずに小銭入れだけで生活するようになっていたことに。
スーパーに行くときだけではく、会社に行くときも、休みの日に喫茶店に行くときも例外なく小銭入れだけで出掛けるようになっていた。
ただし、やっぱり遠出や旅行となるとそうはいかず、結局長財布と小銭入れのスタイルに戻る。小銭入れに収納していたカード類を、わざわざ長財布に詰めなおして。
そんな生活をしているうちに、その煩わしさから解放されたくなり、デザイン性が高く、収納もそこそこ、高品質で価格は手頃なポケットサイズの薄い財布を探した。
僕は、新たな財布に望み過ぎたのだろうか。
一向に、条件を満たす薄い財布は見つからなかった。
当時販売されていたコンパクト財布について徹底的に調べては、何が今ひとつなのかを書き記していった。
その結果、僕が望んでいるコンパクト財布の特徴がまとまった。
当時市販されていたコンパクト財布が実現できていた必要要素
・薄さ
・コンパクトなサイズ感
・機能性
僕が今ひとつだと感じた要素
・収納力
・重厚感/丈夫さ
・可愛い("おしゃれ"の意味で)と思わせるデザイン性
コンパクト性を売りにした製品を、いくつか実際に手にしたときの衝撃は大きかった。インターネット上では良く見えるからこそ、余計に衝撃だったのだろう。
「小銭もカードもほとんど入らない」
「薄過ぎてペラペラ」
「お世辞にも可愛いとは思わない最低限のデザイン」
ここまで具体化したからには、絶対に欲しい。
その想いが、自らつくるという行動につながる。
優秀なデザイナーは隣にいた
僕はデザインもできないし製作もできない。だけど、どんなものが欲しいのか、それだけは誰よりも明確に持っている自信があった。
ある日、僕が望む財布の条件やイメージのすべてを僕から聞いた妻から、こんな感じかな?と紙でできた財布のようなものを受け取った。
衝撃が走った。すっかり忘れていた。
我が妻がデザイナーであり、クリエイターであることを。
その日から、僕と妻は二人で、僕が欲しい財布について徹底的に会話をし、試作を繰り返した。
「こういう作りがいい」という僕に対して、
「強度が弱くなるから、こうじゃないとダメ」とデザイナー(妻)に一蹴されることもあったし、
「ここの素材は絶対にこれがいい」と僕が押し通すこともあった。
使う側の視点(僕)、作り手の視点(妻)、男女のそれぞれの視点(夫婦)と、いくつかの視点から議論を繰り返したことで、設計について考え抜くことができた。
そうして二人で完成させたのが、製品「ICHI」の前進となる、コンパクト財布だ。
自らが欲しいものをつくり、使うことで確信に至る
切望してきたコンパクト財布をつくり(妻につくってもらい)、自らが使う過程で、この財布が多くの人にも絶対に喜んで貰える財布であることを確信した。
ブランドを立ち上げて、多くの人にこの財布を使っていただきたいという想いを妻に伝え協力の了承を得る。
ブランド名は、私たち夫婦二人の名前(Momo/Takuma)からそれぞれ一文字ずつ取って繋げた「moku(もく)」に決定。
上質でサステナブルな暮らしを届けたい
このように誕生したmokuのブランドコンセプトは「上質でサステナブルな暮らしを」。
常に持ち歩いたり、人前で使うことの多い革小物。時代によって変わりゆくライフスタイルに合わせて私たちが普段持ち歩く「もの」も変わらないといけない。毎日をワクワクさせてくれる上質な素材と、現代にマッチした機能性を生み出すデザインは必須になる。
一方で、地球で生活する以上は一人ひとりが自覚すべき責任はあり、作り手と使い手には、それぞれ「つくる責任」と「つかう責任」が存在する。サステナブルな素材であること、ながく使えるデザインであることによって、その責任を全うできるのではないか。
共感してくださるサポーターの皆様と共に、質感高く地球に優しい「素材」×ながく楽しめる「デザイン」で、革小物の制作を通じ、上質でサステナブルな暮らしをお届けします。